絶えざる御助けの聖母とは

絶えざる御助けの聖母マリアの歴史

 絶えざる御助けの聖母の原画は17×21インチの硬い板に水彩画で描かれており、聖ルカの有名なイコンの一つと言われています。現在は、ローマにあるレデンプトール修道会の聖アルフォンソの教会の中央祭壇の上に掲げられています。この聖画がこの場所にどのようにたどり着いたかは興味深い話です。

 15世紀の終わりに、ある貪欲な商人がクレタ島の小さな教会から絵を盗みました。航海を経て、彼はローマに向かいました。その後、彼は病床につき、自分の行いを悔いて、絵を適切に保存してくれる教会にそれを置くよう友人に頼みました。しかしその友人はそれを怠り、行われることがありませんでした。

 ある時、亡くなった商人の6歳の娘に聖母が現れ、「あなたのお母さんに、聖母の絵を持ち出すように伝えてください」と言いました。

 その娘は、母親にそのメッセージを伝えました。

 聖母は再び娘に現れ、今度は聖マリア大聖堂と聖ヨハネ・ラテランの間の教会で、絵がどこに置かれるべきかを示しました。その娘の母親はそれに従いました。1499年3月27日、この絵は聖マタイ教会へ、厳粛な行列によって運ばれました。それから300年の間、その場所で崇拝され続け、数々の奇跡を起こしたことでも有名でした。

 1798年、ナポレオン軍はローマに破壊的な行進を行いました。聖マタイ教会は、そこで被害に遭った多くの教会の一つでしたが、幸いなことに、聖画は救出され、安全に保管するためある修道院の礼拝堂に持ち込まれました。その後64年間は、ほとんど忘れ去られたままでした。

 ローマのレデンプトール修道会の神父たちは、彼らのいる教会がかつて絶えざる御助けの聖母の奇跡的な聖画が掲げられていた古い聖マタイ教会の遺跡の上に建てられたこと、またその聖画が聖母の願いによって、その場所に掲げられていることを聞きました。1866年4月26日、教皇ピオ9世の命令により、絶えざる御助けの聖母の絵は、現在の聖アルフォンソ教会に掲げられることになりました。

絶えざる御助けの聖母

■ マリアのまなざし まず目に飛びこんでくるのは、聖母マリアです。彼女はイエスでも天の国でも、まわりの天使たちでもなく、大切なことを伝えるかのように、私たちにまっすぐにまなざしを向けています。■ マリアの背景と衣装 中世の時代に天国のシンボルとされた金を背景にしていることから、聖母マリアは天の住人であることが分かります。胴着の赤はキリストの時代に未婚の女性に用いられた色、緑の布で裏打ちされたマントの紺は、パレスチナの母たちが着用した色。つまり、マリアは処女でありながら母であることを示します。しかも赤・緑・紺は王族の色で、この絵が描かれた当時、皇后にしか使用が許されていませんでした。また頭部の大きな星は、マリアが私たちをキリストのもとへと導いてくださる星であることの象徴です。その横の小さな星も、この意味を強調するために添えられています。 ■ MP ΘYの文字 マリアの左右頭上にある文字はギリシャ語で「神の母」を表す頭文字です。 ■ イエスの衣装 マリアと同様、イエスも王族のみに許された色を着用しています。皇帝だけが緑の胴着を着て赤い帯を締め、金襴の布をまとうことができました。■ IC XC 幼子の右に置かれたこの文字は、ギリシャ語で「イエス・キリスト」を表す頭文字です。 ■ 落ちそうなサンダル かろうじてイエスの足にぶら下がっているサンダルは、私たちの魂の象徴です。これはたった一本の紐でもよいから、キリストにつながれていれば必ず救われるということを表しています。また、イエスは私たちを見ているのではなく、まして母マリアやまわりの天使たちを見ているのでもありません。なにかとても恐ろしいもの、あまりの恐ろしさにサンダ

www.cssr.or.jp